平成18年2月19日(日)

ママと2人で面会に。
NSステーションに息子の陰なし。

ベッドに後頭部が見え隠れ。
丁度SGさんが散歩のお相手を、というところだった。

私たちを見つけると、「パパとママ来た〜!」
と悲鳴のように歓声を上げ、急いで靴を履く。
駆け寄る早さは好調と成長の証である。

ただ、今日は重要な仕事を控えている。
そう、散髪である。

前回は始まる前から火が付いたように泣きっぱなし、その声は病棟中に響きわたった。
今日もやっぱりダメかしら。

しかし意外に息子は「ビデオ見ながら」と従順である。
どうやらママがここ数日かけて言い聞かせておいたそう。
言葉の理解が進み、楽になった点である。

このHPをご覧頂いている方はお気づきでしょうが、
私達はわざと子の名前を伏せています。
生まれた時から多くの方にお世話になり、それだけ人に接する機会も多いのです。
まして、入れ替わり立ち代わり見知らぬ人が入ってきて、そして去ってゆきます。
その殆どの方が、息子に声を掛け、目にかけて下さる。
息子は警戒心が薄いのです。

もちろん年相応の人見知りはあるし、24時間監視下に置かれているため、
今は心配していません。
しかし、余計な種は、それでも撒かないに越したことはありません。
名を呼ばれると、親近感も湧きやすくなると考えています。
退院後の事もありますしね。

ただそれではどうしても話の流れが表現できないことが多くなりました。
今後は息子の名を「S」と記すことにします。

それでは今日の頭から。

私たちを見つけると、「Sちゃんのパパとママ、来た〜!」

そう、周りがちゃん付けで呼ぶので、
自分の名前を「Sちゃん」と思っているようなのだ。

早速髪切りデスマッチの準備を始める。
床に大きなビニール袋を敷き、テープで固定。
ハサミと櫛、塗れタオル、首を覆うガーゼ、そしてエプロン。
揃った所で息子を脱がし、シャツ1枚に。
毛がIVH挿入口に付かないよう、首にしっかりガーゼを巻く。
最後に髪を床に落とさないエプロンを着せ、準備万端。
おおっと、頭濡らすの忘れてた。

今日のSはヤケにおとなしい。
襟首に櫛が入る「くわい!」とちぢこまるものの、

「ビデオ、見えない!」

と苦情を申す。
仕方ねぇだろ、一生懸命やってるんだから。

途中髪がパラと落ちると、

「髪、来た!」「また来た!」

結局大きくゴネることなくカット終了。
とてもやりやすかった。
次回はバリカン、使えるかな?

最近は風呂も上手に入るようになったそうで、一度も泣かずに終了となった。

間もなくご飯が運ばれてくる。
当然配膳業務もご機嫌でこなし。
配膳係の方々を出口まで見送った。

まだまだ遊び足りないのか、自分のご飯はそっちのけ、再び散歩を続ける息子。
しかし今日はトマトと肉がある。

「大好きなトマトと肉があるぞ?」

案の定、つられて部屋に入っていく。
殺し文句だ。

部屋では中央に設置したテーブルで、
既に食事会が始まっている。

世の中いろいろな親が居る。
何度もあぜんとしたことがあるが、そういう類のお母さんが今同室である。
一言でいえば「世界は自分の子を中心に回っている」
どうもそんな風に思われているようなのだ。

ここには病を持った子が集まります。
どのような運命を背負っているかなんて、外見では判断が付かないんですよ。
何気ない一言が相手を深く傷つけることだってあるんです。

しかし私たちは息子に直接危険な事でも無い限り、「触らぬ神にタタリなし」
を決め込む事にしています。

悪いがここでは自分達のことで精一杯、とても他人の事に口出す暇はないんです。
何より・・・いつか必ず出ていくことがわかっているからなのです。

でもお母さん、どうか分別のある大人に育ててあげて下さいね。
このままでは日本の未来はありませんヨ。

息子は知ってか知らずか、テーブルではなく自分のベッドで食べたいと。

「トマト、ちょ〜だい!」

相変わらず脳天気。

わざと「頂きます」と「ごっちゃま」を逆に言ったり、
そういうフザケもできるようになってきた。

食後もアンパン車を軽快に飛ばす。
プレイルームでは檻に入って「おジャマしま〜す!」

「パパもおジャマします、して!」

ヤダよ、狭いから。
代わりにママが相手をす。

豪快なブリブリ音で遊びは終了、ベッドに戻る。
しかしミは僅かで治まっている。

着替えも済ませ、イタズラモード。

「パパはAK!、ママもAK!」

違うだろ。

あまりにしつこいので、「SもAK〜!」
逆襲だ。

しかし息子は「Sちゃんは、AKじゃ、ないよ〜!」
ちゃんと分かっているのだ。

最後はAKさんに連れられてお見送り。
また来るからな、バイバイ!


しっかり髪を湿らせて。
軽快に切り進みます。
はい、お終い!
良く我慢できました!!
痒いところはございませんか?おボッチャマ。
スッキリした?
この髪型、どうでしょう?
代わり映えしませんね。

これ、足が届くようになりました。