平成26年8月13日(水)

朝5時に家を出る。
いよいよ、夏休みの旅行である。

Sの食事制限が殆どなくなり、自由度が飛躍的に向上した。
持参する薬も、ずいぶんと少なくなった。
いや、液剤がなくなり、顆粒剤も錠剤になった。
これでずいぶんと身軽になる。

Hも初めてベビーカーを持たずに出かける。
軽自動車でも、ベビーカーのあるなしで、ずいぶんと詰め込み量が変わってくる。

さあ、初の自力旅行の始まりである。


社中、不思議と快適だと思ったら、暑い陽が昇っていない。
あー、曇り・・・。

高速も混んできたため、一般道に。

第一の目的地は本栖湖、水遊びであったが、曇りだと厳しいな・・・。

そんな時、目に付いたのが「富士サファリパーク」の看板。


おおっ、車で動物の群れの中を走るやつか。←イメージ

どれどれ、おっ、開園チョイ前に到着するな。
え、バスに乗り換えて餌やりをしたい?
子ライオンとの撮影会もあるの?
よし!ここに行こう!

と、安易に行き先をサファリパークに変更。
しかし、確かに向かう道は空いていたのだが、第一駐車場は既に満車であった。

まぁ、それでもこの時間なら・・・。

到着したら、晴天になった・・・。

ところが、子ライオンとの撮影会チケットは既に売り切れ、バスは空きが16時過ぎとのこと。

えええええ?!

そうかぁ、皆ネット予約なワケねぇ・・・。
行き当たりバッタリで来ることなんて、ないワケね・・・。

仕方なく、自車で巡ることに。

前後のゲートが閉まる。

ジュラシックパークみたいだな。

入園早々、バスから熊に餌を与えているのが見える。
あー、いーなー、あれ。

次は何だ、ライオンか。

しかし・・・。

S撮影、怠惰な動物シリーズ、その1。

ま、木に登ってるライオンを生で見たのは初めてだけど。
その2。 
その3。 
その・・・。 


どうしてサバンナの中を走る絵が浮かんできたのだろう?
CMがそんな感じだったっけ?

と、その時、後ろから何かが近づいてきた。

シマウマだ!

助手席側、車に併走、いや併歩。

これにはSも大喜びだった。


Sとおママは、子ライオンが居る施設に。

S撮影、怠惰な・・・。
な・・・。 
お、いたいた、子ライオン。 

まぁ、こんな感じで。


しっかり晴れたので、遅れながらも本栖湖に。

おおおおお、青い、確かに青い。
他の湖とは確かに趣が異なる。

湖畔に向かうため、キャンプ場の駐車場の先に止める。

すると、おママが何か飛んでいるのに気がつく。

お!ミヤマクワガタじゃん。

残念ながら高所に留ってしまったが、居るなぁ、ここ。

そしてふと湖畔の木を見ると・・・。

おいS!網だ!網をよこせ!!

別の固体をゲット。

Sが喜んだのなんのって。

憧れのミヤマだからな。


ただ、肝心の水温は低く、Hがバシャバシャ入っていくのは危険である。
また明日来ようよ。

渋るSとHを半ば強引に湖畔から引っぺがす。


でもSはクワが採れたので上機嫌。


そこから更に1時間。
山奥の民宿に到着する。

くつろぐH。

何はともあれ、早速山に入る。
H、そっちじゃないって。

む、思ったより急斜面。

しかし何より・・・針葉樹林だな、ここ。

これではムシは望めぬ、早々に退却する。


S「怖い〜!」

下りの斜面を怖がるS。

怖いと思うから怖いんだ。

無視して先に下りて待っている。

しばらくするとSが自力で下りてきた。

ほらな。


何が難しいって、初めてのところはポイントがわからないってこと。

これだけの山、どこかに居るんだけど・・・。


現実逃避気を取り直して、ご主人自慢の手作り露天風呂に。

おおおおお〜、見聞きするより遥かにオープンワイド!


というか、フルオープン状態だって。

凄いな、ここ。


そして、ふとH見ると・・・。

何と自分で体を洗っているではないか。

 

見よう見まねも、ここまでやれば立派である。

むしろアニキよりスムーズな動きである。

これがHの伸びしろというのであれば、もっと引き伸ばしたいたなぁ。

乾杯。
Sには辛い食事。 

まぁ、帰るまでは仕方ないな・・・。

夜は花火。
明日の分も取っておこう。 


寝る前の狩りで、ライトに来ているノコメスをゲット。

一旦就寝、夜0時にSを起こす。

再びライトのところを見に行くもボウズ。

続いて4時、さすがにオレだけ。

しかし収穫はゼロ。

つつつ、辛い〜、精神的にも肉体的にも〜・・・。

 



平成26年8月14日(木)

・・・雨だ。

これでは、どこに行ったって・・・。

とりあえず、朝風呂。

Sは腹痛を訴え、部屋で待機。

山が一つ増えたように見える。

耳も漬かってる、完全に。

それにしても柔らかい。

朝食時に、宿の方がカブトムシが飛んできていると教えてくれた。

おかしいな、朝見たときは居なかったのだが・・・。

とにかくSは大喜び。

よかった、よかった。


Sのお腹の調子がイマイチで出発時間も遅れたが、小雨になったので、近くの沢を散策。

すると、道路にクワが、1匹2匹。

おおお〜、助かった!じゃなかった、よかったなぁS!

形のいいノコであった。

しかしこれで万策尽きる。

市の観光地にいくも、乗り気ゼロのムシ星人。
もったいない・・・。 

近くに青少年センター?体験教室?があることを知り、車を走らせる。

が、・・・。

どんどん山の上に登っていく。

次第にガードレールもない1車線の崖道に。
霧が出て、視界も悪くなる。

何か、映画にでも出てきそうな・・・。

そして、目前には薄暗いトンネルが。
1車線の山道トンネルって、本当に不気味。

意を決して通過する。

こんな山奥に、何十人も参加できる施設があるのか?

何十人も、こんな細く険しい道を連なって登ってくるのか?

観光案内にあったので、夢ではなかろうが、自分を疑うほどの行程であった。


急に、視界が開けた。

確かに大きな建物と、畑が広がる。

が、誰の姿もない。


和紙工房と陶芸工房がある。

和紙工房には誰も居ない。
陶芸工房は・・・電気がついているように見えたが、天窓だった。



人の気配はするが、まるで神隠しにあったよう。

クワバラ、クワバラ。

ま、とにかく下山しよう。

と、そこに、1台の車が登ってきた。

自分達と同じように、きっと罠にハマッタに違いない。
南無阿弥陀仏。

車のエンジンをかけたところで、雨の丘の上から数人の少年達と先生が姿を表した。

なーんだ、人は少ないけど、何か教室はやっていたのね。

さっきの車は建物前の墓地にお墓参りに来た人たちだった。


何ができたわけではない。

変わった状況は楽しめた。

複雑・・・。


下山の道は、皆無口に。
静か〜な状態で、しかし無事下界に戻ってきた。

無為に時間だけを費やした・・・頭から必死に振り払おうとしていた。


急カーブ、目前に何かが横切った。

サルだ、サルの群れだ!


食べ物を求めて、畑に下りてきたのだろう。

現地では意味嫌われる害獣だろうが、ワイルドのサルだぜ。

距離があるにもかかわらず、こちらを警戒して山に逃げ込んでいく。

いいねぇ。


早めに宿に戻って、古典的カードゲームで遊ぶ。

Hが奇声を上げて騒ぐので、食後まずHを落とす。

が、結局みんな早く寝てしまう。


昨晩遅くにSを起こしたからだろう、朝の調子が悪かった。

0時、4時の見回りで、コクワをゲット。

狩りに出かけた証拠にはなろう、確保する。

 

 



平成26年8月15日(金)

晴れた・・・最終日に・・・。




でも、もう帰らねば。
昨日クワ拾いをした場所に。
置いてかれるH。 

残念ながら、収穫はなかった。

さぁ、帰ろう!

といいつつ、イキナリ寄り道。



ジュースとか供えられていた。

こ、怖い・・・。


この天気なら、寄るだけ寄ってみるか。

再び本栖湖へ。

うん、やはり美しい。



でも・・・。

向こう岸は晴れているが、こちら岸は雨。

変な天気・・・。

風もあって水に漬かるのは無理そうだ。

え〜と、S。

船にしよか。

潜水艦みたいだけど、潜らないから「モグラン」ってやつ。

S「え〜!水遊びがいい!!」


まあまあまあ。

さ、船乗り場行こうって。

湖を半周、ちょうどモグランが戻ってきた。

急げ、出向時間だ。

ところが、悪天候により次の便は欠航が決まる。

S「え〜!乗りたい〜!!」

まあまあまあまあ。



仕方ない、もう帰ろう。

ところが途中で精進湖なるものを見つけ、立ち寄ってみる。

どうやらここは釣りのメッカのようだ。

S「釣りやりたい〜!!」

まあまあまあまあまあ。
ルアーなんかもってきてないし。

もう寸止め状態の連発で、SもHもふてくされ。

悪天候、それがキミたちの敵だ。
呪うなら、天候を呪うがいい。


帰り道、富士の裾野の墓地に寄る。

墓参り。

仏壇に来てる時期だけどねぇ?


渋滞にはまりながら、それでも夕方までには到着できそう。

いよいよ高速は終わり、国道に入る。

その先の交差点までは慢性的に渋滞が起こる。
もう疲れた、もう早く帰りたい、スマホナビで裏道を行くことに。

しかし「あっ!」と思った瞬間に左折を逃し、結局更に遠回りすることになってしまった。

トホホホホ。

気を取りなおし、細い道を右に左に。
あれ?見たことある道だなと思ったら、Hが肺炎で入院した病院の近くだった。

あの時はまだ6ヶ月だったか・・・。

輪をかけて「か弱い」H、あの時は奈落の底に落ちたって感じだったな・・・。
ま、今はウルサイくらい元気になって、もうホント、ウルサ過ぎで・・・これからどうしよう・・・。

等と、昔の事、今の事が次々に頭に浮かんできた。
ま、とにかく早く家に帰ろう!

坂道に対抗するため、グイとアクセルを踏み込む。
軽に4人と大荷物、しかしさすがターボ。
オイルも交換したてで、うへへ、気持ちよく加速するぜ。

と1人ほくそ笑んでいたのだが、しかしここから事態が急展開することになる。



マ「ギャーッ!!」


うゎ、驚いた。
何だよ大声出して、全くもう大げさなんだから。


マ「落ちた落ちた落ちた落ちた!」

落ちたって何だよ、落ちて壊れるもんなんかないし。


マ「落ちた、落ちたって!!」

落ちた落ちたって、窓も開けてないのに、何か外に落ちたってのか?
まぁいいじゃん、貴重品でなきゃ。

と思う一方、ちょうどHはグズリが頂点に達しており、チャイルドシートから降ろしていた。
耳に残る尋常ではない叫びから、ワーストケースも脳裏をよぎる。


まさか・・・。


マ「Hがいない!Hが落ちた!止めてーっ!!」

ブレーキを踏み込む間も、「またまた〜」という信じたくない気持ちと、
確かにそれぐらい緊迫した声ではあった、一刻も早く現実に対応しなくてはという焦りが交錯する。


おママが最初に叫んでなお数秒は走っていた。
おそるおそるバックミラーに目を向ける。


(遠くに落ちてる人形みたいなの・・・Hか・・・?)


登りとはいえ50kmは出ていた。
これで無事なの?無事なワケないだろ?どうなんの?これから先、オレら・・・。


おママが後続車に手を振りつつ、Hめがけて駆け寄るのが見える。

倒れていた人形がムクッと起きあがる。
後部座席にHが居ない。

ああ、確かにHだ。

この時ようやくHが落下したことを認識はした。
しかし事態を理解する、いや受け入れるには至らなかった。
どこかに、受け入れたくないという意識が働いていたのだろう。


おママがHを抱きかかえて来る。
Hは大泣き、意識はある。
しかし顔半分と鼻が血だらけ。

マ「歯も折れてるし!」

声が震えている。

とりあえず、病院に駆け込もう。
入院していた病院は目と鼻の先だ。

(幸い歯は無事だったことが後でわかったが、それだけ口腔内も血だらけであった。)

とりあえず、Uターン。

(しかし歯が折れたままってのも・・・折れた歯があれば、すぐならくっつくっていうし・・・。
 でも乳歯か、別にいいか。でも永久歯が生えてくるのもずいぶん先だし・・・。
 しかしちっこいHの歯が見つかるか?そこに時間かけてもな・・・。)

半分信じ難い、認めたくないという意識があったのだろう、一種の現実逃避か、オレ。


病院に到着、おママとHを降ろす。
S、オマエもついてけ、おママを手伝え。

とりあえず、駐車場に車を止めに行く。
遠いんだよな、ここの駐車場。
急いで病院に駆け戻る。

Hの泣き声で、居場所がわかる。
待合室の片隅で、事務の方と看護師さんがHを見ている。

どうした、何も始まっていないのか。

事「診療時間も終わって、先生も帰ってしまった。脳外の先生がいるが、今連絡をとっている。」

む〜・・・。

チャイルドシートから降ろしてしばらく、オムツの異常事態に気が付いたそう。
オムツはチャイルドシート席の足元、しかし手が届かず一時的にHをドア側に座らせていたそうだ。

狭い軽、1人分の座席におママとHではさすがにキツイ。
ところが目を離した隙に、ふっとHの圧力が感じられなくなり、ドアの隙間から、流れる路面が見えたそうだ。

私もまたドアのロックをしていなかった。
自動ではロックしない古い車というのはさておき、Sが車に乗る頃にはもう物心がついていたし、Hはいつもチャイルドシートだ。
ドアロックという習慣がなかった。

いろいろ重なったところで、Hがドアレバーを引いてしまったようだ。
もしすぐ後続車が来ていたら、全国ニュースになっていただろう。

それから更にどれくらい待ったか、あまりの叫び声に見知らぬ婆ちゃんまでHを見に来る始末。
(ほっといてくれ)

再び、事務の方。

事「脳外の先生には連絡がついた。しかしそれ以外の先生はもう帰ってしまった。ここに眼科はないし、どこか救急の病院を探してもらった方がいい。」

と、救急医療センターの電話番号を渡される。

え、自分で探すの?

病院からは電話することはできないそう。
いいよもう、制度なら仕方ない。
自分でやります。

で、どの科が必要でしょう?

事「顔の傷なので、形成外科、耳鼻科。目も心配なので、眼科。口腔も切れているので、歯科・・・。」

(あり得ないだろ〜、全部を満たす病院なんて・・・。)

とにかく電話。

録音する等々のガイダンス後、やっと先方につながる。
状況を説明し、今居る病院から形成外科、耳鼻科、眼科、歯科があるところを探していることを告げる。


救「今ちょうど医師の勤務時間が交代する時間で、これからどこの病院が何の対応ができるか調べるところで・・・。」

つまり、紹介できないってことでしょうか?
意外なほどアッサリと認められてしまったので、それ以上追う気も起きない。
1つの道が絶たれた。

そこに事務の方が、

事「脳外の先生が、(受診するかどうか)聞いてきているのですが・・・。」

つまり、ここで脳外だけ受けて、その他を後回しにするか、キャンセルしてどこかを探すか選べってことですか?
探す手はずも失われたのに?

困った顔をされてはいたが、またも私の理解に間違はなかった。


(究極の選択だな・・・。緊急は脳、それ以外は後でいい。)

ここで脳だけでも検査を受けることを選択した。

でも普通、選べったって選べるもんじゃない、こんな時に。

いや、余計な事は言うまい。
今言っても仕方がない。


Hの元に戻ると、尋常じゃないHの泣き声に足を止めて下さった看護師さんが。
事務の方に掛け合ってくれている。


更にHの元に先生が。

先「これは・・・。」

医師のアンテナにピンと来たのだろうと思う。

先「え?走行中の車から落ちたって?!」

先生の顔色が変わる。
だから、それを訴え続けていたのに。

先「ちゃんとウチで診てあげないと!病院の紹介はそれからだ!」

しかし、これでやっと事が動き出した。

CT待ちの間に、外科の先生。

外「ああ、擦り傷だよ。薬塗っとこうか。」

(ダメだ、こっちの先生わ。)

先「走行中の車から落ちてるんですよ?」

外「大丈夫、擦り傷だよ。」

(とにかく、脳・・・。)


CTに呼ばれる、Hを託す。

暴れるだろうな、撮れるかな・・・。

しばらくしてHが出てくる。

ちゃんと撮れた、と看護師さん。

しばらく待った後、CT検査の結果説明。

先ほどの先生は脳外の先生であった。

先「脳内に出血等は見られない。頭部に骨折も見られない。眼底の出血も見られない。」

等々、他にも詳細な説明を頂く。
とにかく、一刻を争う重大な事象は見られなかった。
一安心だ。

先「ただ、目だけは重要な器官なので、すぐに見てもらった方がいい。病院を紹介する、救急車を手配する。」

救急車・・・。

ババが倒れたとき、遠くの病院に連れて行かれた。
こんな時間から、どこに行くのだろう・・・。
Sの体力も限界だし、食事も摂らせないと。

Sはどうする?おパパと車で行くか、救急車に乗るか?

S「救急車!」


とテンション上がるも、

事「1名しか同乗できないんです・・・」

と一気に突き落とされる。

・・・制度だから、仕方なし。


Sと先に車で出発。
ナビによると、思ったより近い。
30分ちょっとか。

Sと私は無言のまま見知らぬ病院に向かう。
無言なのはいつものことか。
(Sが)文句言わないだけ気を遣ってるってことか。


行き先は第三次救急医療(救急救命センター)がある病院。
心肺停止等の重篤な患者さんが運び込まれるところ。

後からおママに聞いたところだが、到着すると医師・看護師さん10数名が待ち構えていて、即、Hを連れて入ってくれたそう。
それはまるでドラマかなにかのようだったそうだ。


待合室では転落の様子をネ堀りハ堀り聞かれる。

特に後続車との位置関係を問われる。
それはありません、大丈夫です。
一切後続車両や反対車線の車とは接触しておりません。

ただ、スピードが・・・50kmは出ていたと思います・・・。


しばらくして、再度看護師さんが。

看「Hくん、自分の名前は言えますか?」

いいえ。

看「歳は?」

言えません。

看「数は?」

・・・1才程度ですから・・・。


どうも、意識レベルの確認に苦労しているらしい。

3度目か、4度目かの看護師さん、

「念のため、入院してもらうことになりそうだ。」

とのこと。

に、入院・・・。

これで完全に終わったな、このお盆・・・。

一通り検査が終わり、HはICUに入っているそう。

ICUか・・・大事だな。

再度ICUでも状況聴取と入院の説明等を受ける。
Sは年齢制限のため、ICUに入れず外で待ち。
悪いな、でも仕方ない。

今のHは疲れて寝ているそう。
でも点滴や傷を掻きそうなら、抑制具をつけるかもしれないとのこと。
いやもう必須でしょう。

いくつもの書類に署名等を済ませ、最後にちょっとHの様子を伺う。

あ、既にもうラインがグルグル巻き状態・・・。

私たちを見つけてムックと起きあがり、大泣きするH。
うわその顔・・・右半分がお岩さん状態だ。

長居してもいいことない、帰りたいと泣くだけだ。
そそくさとHの元を立ち去った。


結局病院の駐車場が閉鎖されるぎりぎりの時間になってしまった。
家の近くまで帰ってきていたのに、そこから更に6時間もかかってしまった。

きっと、お盆休み中に事故に遭ったら、正にこんな感じなんだろうな・・・。

おママは「寿命が縮まった」と、あの一瞬が頭から離れないという。
廃人の様相である。

いくつもの不注意が重なってしまった。
重ねてしまったのが悔やまれる。

不幸中の幸いではあるが、最後の最後で悔しい事態に陥った。
疲れた・・・。


 



平成26年8月16日(土)

朝、家の中はとても静か。
旅行の荷物も洗濯物も、あっという間に片づいてしまう。

夢ではなかった、やはり現実。

しかし何だかもの凄く、楽?

が、何か抜けたような違和感もある。

 


午後、Hの面会。

Sは病室には入れないので、家で留守番。


Hが入院しているのは、ICU。
緊急の病棟より一段敷居が高い。
インターホンで自らの何たるかを名乗り、確認後に入室が許可される。

ICUに入ると、Hの泣き声らしき、シャガレた声が聞こえてくる。

泣き詰めで声が嗄れたか・・・。


声をかけ、ベッドサイドに。
私たちを見つけたHは、すぐに泣きやんだ。

 

看「さすがだね・・・。」

こういうところは普通の3歳児って感じ。


おママが抱き起こすと、ベットリくっ付いてくる。

スゲー顔・・・。

子供だからといわれているが、面会時間に制限のあるICU、家でSも待っているし、早めに切り上げる。

消えるときは、スッと躊躇いなく。


今日には(救急の)一般病棟に移るとのことであった。
早期に退院を希望している旨を、看護師さんに託した。

送り火。

腕立て伏せ。



ちょっとコツを掴んだような気がする。

 




平成26年8月17日(日)


今日はSの自由研究の追い込み、私だけHの面会に。

一般病棟に移ったはず、どこにいるかわからず、案内して頂く。

お、いたいた、ベッドでアンパンマンのビデオを見せてもらってる。

とても穏やかそうに見える。

私を見つけてムックと起き上がる。

お、上唇の腫れが引いたな。
日に日に回復している。



昨日同様、抱っこではベットリ付いてくる。

ただ・・・。

どことなくぼうっとした感じ?全く立たないし。

手を出せば、抱きついてくるし、放置すれば、そのままアンパンを見ている。

いやいや、オマエそんなタマじゃねぇだろ。


先生から、点滴を外す許可が出ました!

 

と看護師さん。

包帯を取り、針を抜く。

お、針って柔らかいチューブなのね。


ふぎゃーっ!

と大泣き。

でもどうだ、すっきりしたろ?

すっきりした、Hく〜ん!

・・・。

・・・よし。


食欲も上々。
いいねぇ、いよいよ明日退院でしょうかねぇ?

できれば、明日退院しちゃいたいのですが。

退院とわかればSも来るかもしれませんし、Sが来てHが退院できないと、面会中に外でポツネンと待つのはちょっと・・・。

看「いきなり退院ということはない。退院が決まれば、午前中に電話を入れる。」

あら?お電話頂けるのですか?ありがたいです。

ま、擦過傷だけだから、退院間違いなしでしょうけどね。

夜まで、自由研究。

パジャマのままってのが、壮絶さを・・・。



視点を低くすると、開いたように見える。

Sに自信をつけさせるための1枚だ。

 

 



平成26年8月18日(月)

退院が決まれば、午前中に電話する。


の、電話が来ない。

おかしいなぁ・・・。

まぁ、こういう緊急外の仕事は後回しにされがちだろうから・・・。
Hは外傷だけだから、今日退院で間違いないと思うんだけど・・・。

14時頃になり、おママの携帯が鳴る。
病院の医師からだった。


退院の判断をする前に、面談をしたい。
その後に退院可否を判断する。

とのことだった。
頭の中に「?」が浮かぶ。
まぁいいや。

約束の15時に面会に。

ベッドの中に椅子と机が入れられている。
机の上にはおやつがある。

好物のヨーグルトとクッキー。
が、手をつけていない。

そこに看護師さんが。

もうイジケモードで、食べないんです・・・。

そうかぁ。

おママはHを抱っこ。
Hもおママから離れない。

しばらくしたら落ち着いたのか、少しずつ食べ始めた。

良く声も出る、よく笑う。
顔の腫れも更に引いて、ずいぶんHらしくなった。

そこに救急病棟の医師が。

特に問題はないだろう。
顔の傷は、もしかしたら少し跡が残るかもしれない。


とのことであった。

先生、では退院は?


・・・状況が、あまり聞かないケースなので・・・。

当院の「子供を守る会」の医師と面談して欲しい。

退院はそれからの判断にしたい。


あらら、虐待疑いですね。

仰るとおりレアケースです。

仕方なし。


家で待つSを気にしながら、待つことしばし。

同じく救急の白衣を着た医師と、ソーシャルワーカーさんが来た。


事象発生の状況説明と、普段の療育状況を確認された。

直近、産院の定期健診があることを告げると、そこの形成外科でフォローしてもらうことを推奨された。

まぁ、ちゃんと外の目に晒されていることを確認したのだろう。

 

面談が終わりしばらくして、看護師さんが。

本日の退院はない。
明日退院ができることになれば、明日に電話を入れる。


あらら、残念。

そうは言っても仕方がない。
Sの夕食までに帰らねばならぬ。

そうとなればスパッと切るのがせめてもの情け。
Hを託し、そそくさと立ち去った。

夜、再びおママの電話が鳴る。
病院からであった。

明日、退院とする。

やった!と喜ぶおママ。
退院が決定したことにより、心の曇りが吹き飛ばされる。

やっぱり、初めから今日の退院てなかったんじゃん。
退院できる体調で、面談待ちだったんじゃん。

ま、虐待の疑念も晴れて、よかったよかった。

 


平成26年8月19日(火)

家庭科の宿題が、終わった。
自由研究も、何とか仕上がる。 
異常事態はSの字体・・・。 

しかし、この積み重ねが実を結ぶハズ。

少なくとも重ねないと、その先はない。

 

S念願の・・・。
釣り道具を買うたった。

我慢ばかり(そうでもないか)だったな、今度釣りに行こう。

 


退院の手続きって、面倒かな?

マ「いや、手続きは大したことない。」

入退院、百戦錬磨・・・。

車中そんな感じでHの居る病院に向かう。


既に退院の準備が整えられていて、おママの言うとおり、僅かな手続きで全て完了。

普通の退院?て、どこか新鮮だったりする・・・。

皆さま、お世話になりました!

さあ、早く帰ろう!Sが待っている!


ところが、駐車中に他の車にぶつけられるアクシデントが。

あーあ、やっぱり早くは帰れないのか・・・。


病院では半ボケ状態だったが、やはり退化しているのか?


しかしその心配は無用であった。

イキナリ遊び始めるH。

何だ、何もかわらないや。


Sも英語から帰ってきた。

やれやれ、うるささ相乗効果が始まった。


Sの腹筋に・・・が、無理だろう、それ。。
 Hに取り憑かれるS。

事故前と全く同じ光景だ。

 

ストレッチ。

少しずつ開いてきたか? 



平成26年8月20日(水)

更にカサブタ面積が減少。

傷の治りの早さは、さすがである。

今日は丸々1日仕事を休み、Hの家庭内安全対策のための工作を行った。

終わらなかった

 


 

戻る