平成20年5月12日(月)


絶食5日目(実質8日目)。

朝、おママからメール。
Sの様子がおかしく体温を測ったところ、再び38度後半の発熱だと。

着替えさせようと立たせたが、
膝が「笑ってしまう」状態、そして手先が震えていると。




おかしい。
治りかけでこうもぶり返すものだろうか?

明日受診の予定であり、それまで様子を見るべきか思案したが、
腸を休ませるため絶食中、栄養が不足し水分もギリギリである。
体力も落ちているだろうし脱水も怖い。
ここは早めの判断、今日受診することにした。

短腸症候群、そしてその原因となる腸軸回転異常症は、
胎児において小腸が形成され、腹腔内で固定される際の異常である。
部分的ではあるがある種の形成異常には違いない。
そして異常が「小腸の固定だけ」である保証もない。

99%、その可能性はもはや無いに等しいことは理解している。
しかし、未だ頭の片隅に巣くっている蟲がいる。

そしてSの腸が極端に短いという状況を理解し、
扱える先生が他にいないということも恐怖心を増大させる。

つまり水分、栄養、吸収・・・生命に直結しかねない重要事項に関して、
今住んでいる世界(病院の外)の「常識」
つまり一般的学問・知識レベルではSを扱うことができないのだ。

Sの調子が悪くなると、大海の波に翻弄される小舟に乗っているような、
いたたまれない不安と孤独感に襲われることがある。

体力が落ちているSを動かすデメリットはあるが、
おママはいつもの藤が丘病院にSを連れて行った。


夕方、再びおママからメール。

採血と腹部レントゲンに異常なし、CRPが5.7と少し高めなので、まだ菌が体内にいる。
その状態では再度熱が上がることもあり得ることだ。
震えは熱によるものだろう。
抗生剤をプラスする。


とのこと。
またあまりに食べたがるので、ご飯半量からスタートすることになったそうだ。

S自身は午後の飛び入り受診頃には少し熱も下がり、
落ち着きを取り戻していた。

回答を伺えば、なるほど、そうだよなと思う。
そして大事には至らないんだな、と安心できる。



昔IVHは完全で、IVHだけで生きていけると考えられてきたが、
肝障害や成長障害等が起きやすい。
人体は栄養を小腸から吸収するようにできているのだ。

そして同じ経腸栄養でも、口から食物が入れば、また反応が変わる。
体全身が「食べた」という信号に反応する。

腸の調子さえ戻っているのであれば、食物を口にすることにより、
きっと体の抵抗力もアップするのではと思っていた。
そろそろ経口で食べさせたいと考えていたところである。


ちなみに、今日の外来は若いKN先生。
TB先生に(診断を)確認する、と電話をかけ始めた。

KN先生(電話)「入院?全然そんなんじゃないよ!」

あのう、KN先生。
TB先生は入院も視野に入れられているんじゃあ・・・?

しかしあまりのタメ口に、ドン引きしたおママだったそうだ。



何が食べたい?の問いに、

「ホットケーキ!」

咽せるくらい一気に食べたそうだ。

あとご飯も食べたいと言っておママに用意させたが、
さすがにホットケーキの後では、
食べることができなかったそうである。

でもみそ汁は一気に飲み干したそう。
咽が渇いていたんだな。

みそ汁は栄養満点だ。
Sが一生懸命組み立てているもの。
絶食に耐え手に入れた、合体ロボ。

俺ぁ毎晩作ったよ。


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