平成22年11月14日(日)

Sが覗くその先は。
黄色い花は、トマトの花。

春のZ会の教材であった。
猛暑もあろう、屋上の暑さにやられ、殆ど成長しなかった。

ここにきて、小さいままの開花となった。

ちなみにロールキャベツ。

前歯が無くて、キャベツが噛み切れない。





朝、オレだけプチ寝坊。

昨日の話は、既におママからSに話してあるという。

ふーん・・・。
で、遊びの時間さえ取れれば、トレーニングはやるんだな?

S「うん!」

どうしてだろう。
道が開けたはずなのに、どうしてもオレの心がすっきりしない、腑に落ちない。

まさか、「遊びの時間が取れる」事と引き替えに、
嫌々トレーニングすることを飲んだんじゃあないだろうな。

やらされるんじゃなくて、やりたいんだな?

S「うん!」

そうか・・・ふうん・・・。


しかし思いがけずオレの漠然とした不安が表面に現れることとなった。


おママと勉強していたS、おママのちょっとした動作にビクッ!と反応したS。
ブッ叩かれると思い、頭をガードしたのだ。

もう、その様ときたら、負け犬そのもの。
これじゃあ、いじめっ子のいい標的だって。
滑稽だから、やられるって・・・。
正直、虐めたくなるもん。

またおママは同時に、こんなSにしてしまったのは自分ではないか、そう責める。

病院に3年間、大切に守られて育てられた。
3歳で戻ってきたが、そこからの自分の育て方は間違っていたのではなかろうか。
自分がビビリ症のSにしてしまったのではなかろうか、と。


フン、経緯より現実だ。
余りにも心が弱いS。

先日も僅か数十pの木登りを、ビビってできなかった
しかも両脇をオレとおママに支えられて、である。

逆立ちも、怖くて肘が曲がってしまう。
オレがガッシと両足首を持っているのに?
その両足首で、Sを持ち上げる事だってできるのに?

恐がりにも程がある。


一転して、おママも続く。


怖がるくせに、口だけは達者。
お友達が遊具や木に登ってしまうと、Sは下で負け惜しみ。

いつだってそのくらいのぼれるぞー!
オレのほうがつよいぞ、おりてこいよー!


楽しくて、登りたくて登っているのに、なぜ降りなくちゃならない。
Sが登れないのなんてバレバレで、うるさがられている。

放課後、遊ぼうって誘われたことある?
できないくせにウルサイから、誰もSの事なんて誘わないんだよ。
おママも口ばっかりのSが恥ずかしくて、一緒に公園に行けないわ。


更に追い打つおママ。


サッカーが好きって言うけど、
遊具とか他の遊びができないからサッカーしかできないんじゃない?
みんなと遊ぶにはサッカーしかないんじゃないの?S?

無言で唇を噛みしめる、S。
どうやら最後に残った懸念点、半透明な包みがスルリと向け、
卵の黄身のような核心が見えてきた。

本当は、みんなと遊びたいんだよな、S。
本当は、遊具に登ってみたいんだよな、S。
本当は、みんなと遊具に登りたいんだよな、S。

S「うん・・・。」

その返事は本気なのか?
本気でやりたいと思うなら、できるようにさせてやるぞ、S。
今までコツコツとトレーニングを続けてきたのはそのためだ。

日曜は公園でサッカーをやろうといういつもの約束だが、遊具のある公園に行こう。
登れるようにしてやるぜ、本気で登りたいならな。

S「いく!」

行きたいか?

S「いきたい!」

公園に、行きたいかー?!

S「こうえんに,、いきたいー!!」







と、
さも自信ありゲに言ったモノの、実は確固たるアイディアはなし。

基本、スモールステップ。
1cmずつでも徐々に登れるようにしたら、いつかは上まで登れる。
そして反復練習だ。


早速公園入り。
うーん、人が多い。

鉄棒やら遊具やらを目前にして、「泣き」が入ることがよくあった。
以前何度かあったように今回も半強制、
大泣きさせてもやらせる覚悟だけはできていた。
視線は痛いが、痛みは甘んじて分かち合おう。


ところが、ところが。

一段目とも言えぬ、最下段。

今までこれすらできなかった。


やった!1歩が出た!!
私は静かにポン!と手を打った。

いや、そんなわざとらしいことはしない。
心の中でそう叫んだだけだ。

僅かでも、やればそこから伸ばすことができる。
しかし遊具を掴むことさえしなければ、
やりたくないと拒否すればゼロ、何倍してもゼロである。
勝機、我らに来たり。

ちょっと複雑な箇所は、
足を掛ける場所がわからず、
降りてしまう。

いいよぉ、いいよぉ、その位。
気にせず続けなさい。


きっとオレ、笑顔だったに違いない。
だって、あのSがこのSが、まがいなりにも遊具に足を掛けているのだ。


もっと高いところ持ちな。
そうそう、そんな感じ。


1段目を2本。
すると2段目ができそうな気になる。

ほら、2段目できたじゃないか!


2段目3本、4本と続ける。
すると3段目に登れそうな気になる。

おおっ!
3段目だ!!

遊具で遊んでるぞS!!


その後もスモールステップ、快進撃は続く。


森に帰すオランウータンのよう。
本数をこなすウチに様になってくる。
更にループのところまで自分で登った。

きっと、みんながやってるのを見て、
うらやましかったんだと思う。
買い物を済ませたおママが来た頃には、
すっかり上まで行けるようになっていた。
ほらっ!

足を外してみせるS。
おママも驚きだ。



今日は怒ったり怒鳴ったりする必要は、ただの1度もなかった。
自分で「できるようになりたい!」という意志が見えたからだ。
これは今までなかったこと。

素直に、嬉しい。
Sにもおパパとおママの嬉しさを、余すところ無く伝える。

Sがもつ!

買い物袋を率先して持つS。

自分に自信が持てると、
人は強く優しくなるよなぁ。



これでもまだ、普通の子に比べれば下手くそもいいところ。
でも「できる」「できない」じゃない。
できなくてもいい、「やる」ことが大切なのだ。


Sの成長があまりに嬉しくて、夜はお祝いのピザを頼んでしまった。

自ら好物を引き寄せたS。
ちなみにくず餅は不評だった
体重23.8kg。

オッケオッケ、
今日は良いよ、何だって。


話は前後するが、午前のトレーニングも、
遊びと時間を分けることにより、そして遊びの遊具が上手くなるためでもあるとわかり、
いつもより率先して、集中してこなしていた。

いいかも、いやかなりイイ感じ、午前トレーニング。
遠かった光が、足元を照らし始めた。



Sはいつもおママに「いっしょにねて!」と頼み込むが、
それではついついおママも釣られ寝してしまう。
すると睡眠が分断されるし、
私もおママに用事があるなら起きて待っていなければならない。

寝るときはS1人、その代わり、
寝る前におママがしっかり抱っこするとSに約束にした。

更なる生活環境の改善である。



1年前の息子
2年前の息子
3年前の息子
4年前の息子
5年前の息子
6年前の息子
7年前の息子

戻る