平成16年3月27日(土) 番外編

今のNICUはちょっと雰囲気違います。
保育器が殆どありません。
勿論重い症状のお子さんもいますが、大部分が平置き、奥まで見渡すことができます。
授乳の時間が迫ると一斉に合唱を始める光景は、さながら新生児室のようです。
つい先日は保育器が不足し買い足した程でしたが、

「こんな落ち着いた状態は年に1度あるかどうか」

とは看護婦さん。
NICUに入るお子さんは未熟児が多く、
保育器から出て平置きになったところをみると、順調に回復し退院も目前なのでしょう。
お母さんが集まると、みんなでこの緊張した数週間を語り合い、
談笑が始まることもしばしばです。

これまでの私たちは他のお父さんお母さんと会釈程度の挨拶はすれ、
話をしたことはありませんでした。
その子が一見元気そうに見えても、どういう症状か素人目にはわからないからです。
どう話題を出して良いのかも皆目見当がつきません。
そしてなによりこれまでのNICUには、それを許さない緊張感がありました。
私達の子も元気さながら、皆さんにはさぞ不思議に思っている事でしょうね。(笑)


そんなお話しお母さんのボスが相方に、

「ウチの子ミルクがまだあんまり飲めなくて・・・」

と執拗に語りかけてきます。
笑顔だけ、返しておきます。

後ろでは新しく入った子のお母さんがNICUの説明を受けていました。

「親戚の面会もできないんですか?!」

もう新生児室へ戻ることもない、NICUから退院なると聞いて、
我が身に起こったことが理解できていないご様子です。

嬉しい退院も多いでしょうが、そうでない事もあるのが「一度出たら二度は入れない」NICUなのです。
このNICUで私たちの息子よりお兄ちゃんお姉ちゃんは1人2人になっています。
ただ、私たちはその子達の行方も聞きませんし、今のお隣のお子さんの状況も知りません。

勿論、一人でも悲しい思いをしてもらいたくありません。
NICUが落ち着いていることは、私も大変嬉しく思います。
ボスお母さんのお子さんも順調に回復されているご様子、なによりです。
喜ぶお気持ちもわかります。
そして私たちにあなたを羨み妬む気持ちはありません。
ただ私たちはこの子との貴重な時間を大切にしたいので、無愛想で申し訳ございません。

みんなで飾り付けの工作をする、美人看護婦さんたち。
時間の合間を縫っての作業です。
単に治療だけでなく、母子共の精神面のケアまで気にかけてくれています。
その献身ぶりにはいつも頭が下がります。