平成24年4月1日(日)


Sにせがまれ釣りに。
前回はボーズだったもんなぁ。


釣り堀、(人工の)池、川。

ウチから近い順であり、簡単に釣れる順でもある。

まずは、釣り堀に行くか。

とにかく「釣る」という体験をさせる。

一番簡単な金魚コース。
ニジマスは釣ったら買い取りなので





しかし、いくらやっても全く釣れず。

魚がちみっちゃいのに、針がでかい。
悪徳ボッタクリ釣り堀じゃねぇの?ここ。

と思っているウチ、

つれた!

とS。


胸に針が・・・スレか。

でも釣れたことにはかわりない。
第1号の赤金魚だ。

でもその後が続かない。
他の釣り客も釣れる様子が全くない。

ふむ〜・・・。

釣り堀ですら釣らせることができんのか。
最悪の展開が頭をよぎる。

煮詰まったところでアイディアが。
そうか、針先にだけチョコンと餌をつければいいんだ!

狙い的中、やっと続きが来た。
はじめは魚におっかなびっくりだったS。
でも次第に慣れてきた。



練り餌を付けるのも、細かな指先の感覚が必要。
今日そこまでSに求めちゃあ、辛い経験になってしまう。

まずは楽しく。
今日は私がエサ係を引き受けよう。

何とか、形になったかな?


続いて、次回の下見を兼ねて池に向かう。

・・・投げ釣り、ルアー釣り禁止・・・。

普通の釣りはいいのかな?


しかし人目が多すぎ、はばかられる。

なのでザリガニ釣り。

でもサッパリだった。



しまった、Sが不完全燃焼になってしまった。

ダメだ、やっぱり川だ川!
次回は最初から川に行こうな、S。

昼食。

風が強かった。




午後は運動塾の短期水泳教室。




どうも次の5級の平泳ぎの手は、
掻くのではなく少し広げるだけ。

そこで一旦バタフライになり、
平泳ぎが完成するのはもう少し上の級になるそうだ。
それってホントに子供のため?

話戻って、S・・・。


平泳ぎの足、左右のタイミングがずれる。
ばた足かよ

沈んでしまうと感じるのか、
上体が縦になりぎみなので足が水中の台に当たる。

溺れそうになりながら、動きはどんどん速くなる。
それで25m泳ぐから逆にスゴイ。

レッスン終了後、おママは「蹴のびのように」とアドバイス。

S「あ、そうか。」

と理解ができたようだったそうだ。

ブーン!
ひこうきぃ〜!
無抵抗のHを・・・。
あっち・・・。
こっち・・・。
おもいいいいい!



春休みはSとHが接する時間が長く、
その分Hが受ける刺激も急増。

それが発達に現れているように思う。

Hが大好きなS兄貴である。


平成24年4月2日(月)



水泳短期教室最終日。


何と・・・
平泳ぎ25m合格!
手は掻かない平泳ぎ




何と2階級特進よ?!
そして次はバタフライだぜ?!



短期教室の日程全てを欠席なく行けたのも大きい。
やはり健康第一だ。


何やってんだS、やるぞぉ・・・。


夜の5分トレーニング。
体の中心に軸を作り、下半身と上半身を連動させる。

ぶら〜ん・・・
ぶら〜ん・・・
ぶら〜ん・・・
ぶら〜ん・・・。


これで2日目。
軸足が開いたりつっぱたり、顔まで回ってしまったり。

それでもずいぶんと改善されたのだ。

昨日の初めてやった際は、まず腰が回らなかった。
腰が回ったら、軸足がずれて体重がかかり倒れてしまった。

脱力することで重力を感じ、筋肉の張りと深い眠りが得られる。
Hでの勉強が、Sにも役に立っている。


平成24年4月3日(火)


興味が広がる今日この頃。
Hの出張範囲が日に日に広がっている。
イスにかけてあったオレのズボン、
裾がH汁でグチャグチャにされた。



これからは誤飲も起こる。
Sは病院育ちだったので、私たちに経験はない。
気を付けないと。

Sが選ぶお菓子は・・・。
どれもチョコレート系。


Sにチョコは結石の原因となるので、控えるよう指示されている。
その分、本人の要求度はヤケに高くなる。


TVでやっていた、石鹸の界面活性を用いた実験。
牛乳(色が白いため)に色水(絵の具など)を垂らし、
石鹸を染みこませた綿棒を中心に漬ける。

すると綿棒から同心円上に水流ができるのだ。





ふとSが、

S「Hはダウン症のとくちょう(特徴)、でてないの?」

と聞いてきた。
口調からして、「出てるの?」に近い。
普段口にはしないが、やはり案じている。

今はそれほどでもないんだよ、でも将来はどうなるかわからない。

わからないことが納得できない様子のS。

Sだって、こんなに元気になるかどうかわからなかったんだよ、とおママ。

でも、すまんな、S。
できる限りのことは、するからな。
2人のために。


平成24年4月4日(水)


おママがHに絵本を読んでいる。

Hがあまりに熱心に見ているので、
写真を撮ろうとそっと近づくと・・・。

カメラ目線。
そしてまたスッと本に戻る。



スゴイ、スゴイぞH。

何がスゴイって、まず絵本に集中してるってところからして、スゴイ。
興味が湧くくらい、情報が目から入り、脳で処理されている。


そして何より、カメラ目線。
近づく物体に気が付く視野の広さ。
一点に集中しながらも周囲まで見えているってこと。


更に再度絵本に戻って行ったこと。
近づいてきたものが私とカメラであることを認識し、
絵本とどちらが楽しいかを比較し、
絵本を選択したってこと。


僅か一瞬の出来事だが、非常に高度な行動である。



お風呂でも「おお」と思う、来事があった。

脱力のため、いつも湯船で耳だけ塞いで仰向けで浮かせている。
今日はHが暴れて水を飲み咳き込んでしまったのだが、
するとそれから仰向けプカプカを嫌がるようになってしまった。
「また同じことが起こる可能性がある」ことを理解しているということだ。

うつ伏せになれるのに、手前で止まってしまっていたのもそうかもしれない。
戻るのが難しかったから、一歩手前で静止していたように見えた。


たかが、それだけ。
普通だったら、気にもとめない動作にすぎないだろう。

しかしウチには「されど」なのだ。

Hだって、十分知恵付いている。
ように思う。

日々の努力の成果だと思うのだが、
比較できないのでモチベーション維持は大変である。


平成24年4月5日(木)



今日はSの最後の藤が丘病院。

もちろん治療はまだ継続するのだが、TB先生が異動になるのだ。
少し遠くなるが、私たちは先生についてゆく。

今日はHもSの診察に付いてゆく。



Sがどうしても病院の地下食でご飯を食べたいという。
外食は油が多いから美味しいのだ

もしかして、藤が丘病院の食堂も最後になるかもしれない。
SとHと3人で食べるのも、いいかもしれない。

おママは少し早く出発し、希望を叶えることにした。

Sが頼んだのは、
ラーメンにコーラフロート。

ホントに短腸症候群かよ。
立ち上がって・・・。

食べ慣れないのがよくわかる。

←ロールオーバー



さて・・・。


身長:132cm
体重:28.9kg



身長、体重も伸びている。
調子も良さそうだ。



そして不意に、ついに、待ちに待った言葉が。


そろそろ変えていこうか!


ナニゲに我が耳を疑う


食事メニューの記録を見ても、ずいぶんと普通になっている。


ええ、先ほども


それでいて、ずっと+1SDを保っている。

夏は脱水の危険があって、冬は感染症・・・。
胃ロウを取るのは・・・。



・・・取るのは・・・?


・・・来春くらいかな。


あと1年



まず夜間注入を中止する。
その分(水300mLにエレ2包)を分3で口から飲む。
味はフレーバーで調節する。

経口の脂肪乳剤は半量の5mL×2回にする。

薬類は今後変えていくことにしよう。
あと次回は採血をしよう。


ということになった。

いつか来ると信じていたが、ついに、ついに。
具体的な見通しと、それに向けた管理の変更が行われたのだ。

最終コーナーを回ってから、ゴールが果てしなく遠かった

ここでの診察は最後と思ってHに着せ来てきたのは、
Sが転院してここ来た時に着てきた服。


そうだったっけ・・・。


先生、さすがに覚えていらっしゃるわけないか。

始まりと終わりと、これからと。
未来と過去が線で結ばれたような、不思議な感覚を味わった。



申し訳ないと思いつつ、Hの状態についてもご助言いただく。

よく吐いてしまうのは、ダウン症ではよくあること。
もちろん普通の子でもある。

吐きにくいミルクやおう吐を抑える薬もあるが、
大切なのは「成長していること」であると考える。
体が大きくなっていれば、吐いても栄養は十分吸収できていると考える。



ありがとうございました。




夕食は、ラーメンとコーラとアイスのトリプルパンチか、
大量ウンも出たので(油が少ない)焼き魚。

肉好きのSもグウの音も出ない、納得の様子だったそうだ。




今日は春休み最後の日。
この休みは一年間の復習に当ててきた。

「解けるようにようになったら、破って捨てよう」

とおママは言っただけなのに、
何故だかシュレッダーのように細かく切るS。




あまりに熱中しすぎて、ゲームをする時間がなくなった。
疲れたのか、癇癪小僧になって大泣き。

更にHがSのお気に入り「キモカワこびと」のオモチャを潰し、
泣きっ面にHで更に大泣き。



それよりS、どこか様子がおかしい。
はは〜ん、どうやら胃ロウを外すことに不安があるようだ。

良い意味でも悪い意味でも、人生の殆どを胃ロウに頼って生きてきた。
自分と他人の一番大きな違いでもあり、特徴でもあった胃ロウ。

それがなくなると、

S「自分が自分でなくなる気がする・・・」

離脱を願いつつ、それが自分の一部になってしまっている。

まぁよ・・・。
とにかく外してから考えようか、Sよ。

人生が大きくかわるよ、きっと。




藤が丘病院は小児外科が閉鎖になる。

生後1年間お世話になった聖霊病院も、
既に先生方や看護師さんも変わられている。
病院自体も大改築により当時の面影は既にない。

いずれも寂しい限りだが、
なんだか綱渡りで良い時期を過ごしてこれたようにも思う。

感謝である。


平成24年4月6日(金)


H汁に気を付けろ、S。




胃ロウに助けられた命ではあるが、
それを使うと使わないのでは、生活と心が大きく変わる。

エレンタールの経口は明日土曜日の朝から始める予定。

これで最後の胃ロウ夜間注入の準備だ。

キッチンに栄養剤パックがあると邪魔だと不評だった。
それもこれで終わりだ。
のはずだ。


調子を崩して一時使うことがあっても、
レギュラーでの活躍はこれが最後だろう。



胃ロウを外しても治療のゴールではない。
少なからず越えられない壁はあり、体調管理は一生必要であろう。

しかし、しかし。
大きな一歩に、言葉では言い表せない気分だ。

変わる。
きっと何かが変わる。
何かはわからないが、ワクワクする。
そんな感じだ。


平成24年4月7日(土)

朝から・・・特に意味なし。




エレンタールを経口にするため、フレーバーを試す。
Sが選んだのは青リンゴ。

どれどれ・・・。


ヲヲヲヲヲゥ、ウ゛エ゛ェエエエ・・・。


・・・懐かしい、この味。
まるで「ポテトチップスを漬けたぬるま湯」のよう。

Sは0歳の頃、このエレンタールが大好きだった。
というか、口から入れることができたのは、
薬とこの僅かなエレンタールだけだった。

一滴もこぼさぬよう残さぬよう、与えていたなぁ・・・。

とりあえずホレ、飲んでみい。

・・・。
ウ゛エ゛ェエエエ・・・。

やっぱりダメか。



最後の手段は、ミロ。
ココアパウダーには結石の元となるシュウ酸が多い。

TB先生に確認したところ、


ミロは麦芽飲料であり、ココアパウダーの含有量が多くない。
風味付け程度なら問題ないだろう。



とご指導頂いた。

イキナリ最後の手段・・・というのもナニではあるが、とにかくミロを試す。


小さじ1杯、2杯。

・・・全然。


3杯4杯。

・・・まだまだ。


結局何とかSが飲める味になったのは、
エレンタール100ちょっとmLに対し、ミロ15g。
通常牛乳150mLに対するミロ量である。

こりぁあ「風味付け程度」では済まないぞ。
いいのか、おい・・・。

午前中から買い物。
Sの物ばっか。

いいなぁ・・・。



昼食は外食で済ます。

が、好物の油物が食べられない。


もしかして、エレンタールがガツンと利いてる・・・?

エレンタール2包で300kcalちょっと。
朝昼晩の分3だから、1回は約100kcal。

しかしこれにミロ15gの60kcalが加わっている。

160kcalといえば、ご飯1杯分。
もしかして、カナリの負担になるかもしれない。

とりあえず、様子見だが・・・。


そのまま花見に突入・・・のはずが、
曇って寒くなり、雨もパラついてきた。

イカン、布団が干したままだ。

花道だけ通って帰ることにした。
(S撮影)





帰宅。

ところでオマエ、今日なに買ったんだっけ?


そうだった!

と、あわてて着替え出すS。


明日、サッカーチームの体験練習。

すぐさま隣の部屋にボールを蹴りに行く。
余程嬉しいのだろう、
苦手で嫌いなリフティングを水から練習していた。


そう、まずは見てくれからだ、S。



こちらもなかなか決まってきた。



ああ、夜の夜間注入が無いのって、凄く楽!!

エレンタールの飲ませ方とか、ミロ量だとか。
課題は残るが、きっとなるようになる。

というか、これも胃ロウ離脱までに通らねばならない道。
やるしかない。



平成24年4月8日(日)



サッカーチームの体験練習に行く。
今日は私が見学する。


が、


S「ここ(眉間)にキズがある!いたい!!」


とおママに泣きつくS。

汚れじゃないの?とおママ。

大げさなんだから、どれ、見せてみい・・。

やっぱ汚れだよ。

オマエ、朝、顔洗ったか?

ちゃんと朝一番で顔を洗えよ!
だからボケラっとしてんだよ!!

自ら不履行を暴露して怒られるS。




朝慌ただしく準備していたら、
キッチン床にミロの粉が激しく散っている。

え?オレ?
今朝のエレンタールに添加したミロ?
覚えてないが、そんなにモウロクしてないと思うが・・・。

はっは〜んと、おママと目があった。


S、オマエだな、つまみ飲みしたんだな!

シラを切るSだが、

眉間のミロが動かぬ証拠じゃっ!!







一体どんな飲み方をしたら眉間に付くんじゃい。
それにバサッと落とさなくとも・・・傷だとあわてなくとも・・・
なぜ何重にも墓穴を掘る、Sよ・・・。


どこまでも果てしなく要領が悪すぎて、こっちが悲しくなるぜ。
ったく・・・。


さて・・・。

思ったより、きちんと練習している。
特別目を掛けて教えて頂いた。
左足もやるんだな。
いいじゃない。


1時間半の練習を終え、他の子はまだ残って遊ぶが、
Sは疲れたから帰るという。
良い判断だ。


昼食後、花見がてら公園へ。

桜のトンネル。

花見渋滞だ。

(S撮影)
桜の名所は撮り逃がす。

惜しい、S・・・。






公園では、まずキャッチボール。

また運動能力テストが控えている。




昨年、遠投の記録が0mだったS。

前に投げられなかったようだ。





未曾有のサッカーブームで、子供のボールを投げる力が落ちているという。
Sの学校は、特にそれが顕著である。

でもまぁ、これなら少しはマシになったろ。






サッカーをやっていると、Sのクラスの友達兄弟がやってきた。
シメシメ、お役ご免だと思ったが・・・残念、奇数だ。

風が冷たく、調節が難しい。




夜には再度Sの意志を確認し、
おママはクラブに入る手続きを開始。


みんな「ヘイ!」と歯切れ良くボールを呼ぶのにSは、

S「へ〜い!」


ゲームでも、争うボールを譲ってしまう。

ボールに飛び込む出もなく、一定の距離を保って傍観してしまう。

Sに足りない積極性と自信と覇気。
サッカーが、Sを変えてくれるかもしれない。

そんな期待までしてしまう。



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