平成21年1月4日(日)


朝起きる。

おママは(Sのために)ご飯を作る必要もない。
胃ロウガーゼを交換したり、
薬を飲ませたり、歯を磨かせたり、
便をチェックしたり、
メニューを手直ししたり、食材を買いに出たり、
食事量を記録したり、

なーんにもない、平穏そのもの。


ただ、Sの笑顔もない。

もちろん真夜中に何の前ぶれもなく叩き起こされる閉塞も、当然ない。
でも、よく眠れなかった。

咽が腫れて窒息しそうになったのは、たまたま腫れた場所が悪かっただけ。
気道が塞がるのを防ぐための挿管であり、
挿管すると違和感があり苦痛が強いため、鎮静剤で眠らせたのだ。

絵面は意識不明の大重体のように見えるが、要は単なる風邪である。
大変お騒がせしました。m(__)m

しかし、そうは言っても、確かに一時的に窒息→生命の危険に曝されたのは事実なわけで。
おママは、生後すぐに尽きるSの命を人の手によって引き留めたので、
神様が再び召されようとしたのではないかと、
落ち着いてくるに従い怖くなったそうだ。

私も昨晩の夢見は悪かった。
ずうっと苦しみ藻掻くSの声が聞こえていた。

Sはどうして?!と思うほど、寝るのが嫌いだ。
どんなに眠くてグダグダになっても、
決して自らは寝ようとしない。

まるで自分の命がの尽きる「時」を知っていて、
寝る間も惜しんで「この世」を謳歌しているかのように思える時があった。

いやいやしかし、そうではないんだ。
確かにお前は生まれて間もなく尽きる命しか持っていなかった。
それを多くの方々の尽力によって、生きることが許されたのだ。
生きるべき運命になったんだ。
私はそう信じるようにしている。

だから、安心して寝ればいいのに・・・。
寝ないから、こんなになったんだっつーの。

おママは「何もすることがない」と、腑抜けのようにボ〜っとTVを見ている。
Sがいないと部屋もきれいで片づけもない。
残念ながら既にお正月番組は殆ど終わり、平常に戻っている。

ああ、眠い。


さて、面会。

あらら、両手が拘束されている。
鎮静剤で眠らされているのに、暴れたのか?!



熱は38度を超えているものの、
呼吸はずいぶんと楽そうになっている。
胸に触れると、ザラザラした呼吸時の雑音も少なくなっている。
鼻水も止まった。

尿も管をつけられたが、
おかげでか?ずいぶん出るようになった。
昨日から70mL/hで点滴し続け、やっとここまで潤った。

普段から腸に負担をかける飲水はギリギリに控えており、
今回は喉が痛くなって飲み食いができなくなり、
脱水でも危険な状態であった。

胃ロウからポカリスエットを注入していたが、
呼吸が荒く嘔吐しそうになったので、
十分量が入らなかったのだ。

挿入した管から、吸引。
苦しいんだ、これ。
口の中だけならまだしも、気管内に管を入れるので、
想像しただけでも自分の胸が痛んで仕方ない。

でも、まだ肺から痰が出ない。
そこまで柔らかくなっていない。
もう少し時間が必要なようだ。

今日はずいぶん呼吸器のアラームが鳴る。
低分時換気アラーム、バックアップ換気。

丁度採血に来た先生に質問する。

人工呼吸器が換気不足を感知した時に鳴るアラームである。
ずいぶん喉頭蓋が腫れ、細い管しか入らなかった。
今はだいぶ腫れが引き、管との隙間ができているのかもしれない。
自発呼吸も強くなっている。

管との隙間から空気が入れ替わり、
人工呼吸器に頼る量が減り、アラームが鳴るのだろう。
サチュレーションを見ても、十分酸素は入っている。


呼吸の波形が昨日と違い、ずいぶん少なくなっていますが?

昨日は回数が多く浅い呼吸だった。
今日はずいぶん深く空気が入っている。
呼吸器もそのように調整した。


安心しました。
アラームは嫌なもので・・・。


話している間も、やっぱりSは鎮静剤で眠っているだけ。
早々に帰ろうかと思ったら。

おっ?うっすら目を開けている?



そういえば、こういう状況、前にも経験した

ずいぶんと大きくなったものだ。
こんな形で実感したくはなかったが・・・。

でも、目を開けているどころか、
こちらの話に呼応しているぞ?
意識、バリバリあるんじゃないのか?

次第に足がジタバタ動き出した。



帰りたい〜!

声は出せないが、確かにそう泣いている。
そして起きあがらんばかりに暴れ出した。

コイツ、鎮静剤が効いてない!

IWさんに相談する。

鎮静剤を増加すれば落ち着くが、自発呼吸も抑えてしまう。

IWさん、成長したな・・・。
内科のYM先生に来て頂く事に。

確かに動きも激しいので、
ゆっくり持続注入している鎮静剤を少しフラッシュ(流す)しよう。
そして薬剤を変更する。

肺炎自体は数値からも落ち着いてきている。
明日耳鼻科の先生に再度喉頭蓋をスコープで診てもらう。

ずいぶん腫れが退いていて・・・気道を塞ぐ恐れがなければだが、
管を抜くことも考えられる。
ただ、再挿入は難しいので慌てて抜くことはしない。


宜しくお願い致します。

で、先生・・・。
ここまで悪くなったのは、私たちに落ち度があったのでしょうか?
例えば、気が付くのが遅かったとか、風邪への対処が遅れたとか。

それはない。
菌が付いた場所が、たまたま悪かっただけだ


(ああ、よかった・・・。)

ただ、腸を切ってるね。
小腸が短くなると免疫力も弱くなる。
その事が影響しているのかもしれない。


ありがとうございました。

で、先生・・・。
もし受診が遅れていたら、どうなっていたでしょうか・・・?

・・・塞がっていただろう。


って、死んでたってことじゃないですか?!

あわわ、危うくSを失う事だった。


その他、血液中から何とか菌が出たと言われた気がしたが、
聞き漏らしてしまった。
菌が先か、炎症が先か。
また明日にでも確認しよう。

Sは鎮静剤をフラッシュされている間にも、拘束から逃れようと暴れている。
ダメだよ、オマエは今こうなっているんだよ、とSに自身の写真を見せてやる。

←Sに見せた写真

あわわ、ますます暴れ出してしまった。

まあ、暴れられるほど元気になってきたということだが・・・。



そして藻掻いて拘束から腕を引き抜いてしまった。
これはもうだめだ。
私たちが居ると覚醒してしまう。
ここはもうお互いのために退散しよう。

少しSが落ち着いたところで、
静かに観察室を後にした。



夜。
大人2人だと、部屋が散らからない。
これはこれで(Sが帰ってきてからが)大変だ、とおママ。

そうそう、この解き放たれた時間はすぐ終わるよ。
その間、十分羽を伸ばしておこう。

Sのための食材は、チラホラと賞味期限を迎えようとしてる。
私たちの正月は、バタバタと過ぎてしまった。

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