平成21年7月1日(水)
7月に入った。
今年も半分が過ぎ、いよいよ折り返しに入った。
全く早いものだ。
当初の見込みは今年の春に胃ロウの夜間注入を中止するはずであったが、
その前に年始で大きくズッコケてしまった。
疾患(感染症)と治療(抗生物質)によるダメージは大きく、
現在の足踏みは、その影響が強くあろう。
今もお腹の調子は万全とは程遠い。
本当に小学校に上がる前に胃ロウが不要となって外されるのか、
そうなるにはそろそろ夜間注入を中止し、
体重増加を観察する時期に入らねばならない頃だ。
にもかかわらず、今だ波に乗れていない。
まあ、考えても仕方がないが・・・。
もうすぐ七夕ということもあり、もう短冊にお願い事を書いたかと聞くと、
S「ううん、まだ・・・。」
去年は「お金持ちになりたい」、一昨年は「お月様になりたい」であった。
どうせウルトラマンになりたいだろ?さっさと書けよ
ならば、
マ「お医者さんはどう?TB先生みたいになるの、格好良くない?」
S「え〜・・・なら(れ)ない・・・」
マ「ウルトラマンが怪我したら、治療してあげればいいじゃん。」
S「え〜・・・大きすぎ・・・。」
マ「それなら、人になったときに診てあげたら?」
S「それならだいじょうぶかも・・・。」
医者の世界も大変厳しい。
過酷な勤務に加え、日本も訴訟社会になってきている。
問題が起こった後でその原因を探すのと、
原因がわからない状態で「問題になるかならないか」を判断(診断)するというのは、
難易度に天と地程の差があることは、少し考えれば容易にわかることだ。
それに医師の技術は不断の勉強と経験によるものである。
対し、ヒトの体は人知及ばぬ神様の芸術作品と言っても良い。
医師には大変失礼な言い方かもしれないが、
暗黒のジャングルの中から、懐中電灯一つで出口を探すようなものだろう。
医業は生命に直結する仕事であり、判断には常に正確性を求められる。
この「正確」の解釈が医師と患者で大きく隔たりがあるような気がしてならない。
患者には「医者なら何でも知っているはず」との思い込みがあるのだ。
冒頭に記したSの感染症は急性喉頭蓋炎であったわけだが、
コイツは本当に危険な疾患で、放置すると急激に気道閉塞に陥り、窒息してしまうのだ。
そうなれば数分内に喉を切開し気道確保しないと、アウトとなる。
あの時病院に連れてゆく判断をしていなければ、
まずそれだけで私達に今の今日は訪れていなかった。
今思い出しても背筋が凍る。
しかし急性喉頭蓋炎の本当の恐ろしさは、その発見(診断)の難しさにある。
まず初期の症状が風邪と酷似している。
そして喉頭蓋は口腔から覗くことができない。
耳鼻科医による気管支ファイバーが必要なのである。
つまり内科医・外科医では見過ごし以前に、直接見ることすらできないのだ。
またこの疾患自体が稀であり、
医師の知識と経験、頭脳のデーターベースを検索しても、
まず急性喉頭蓋炎がヒットしないのだ。
つまり急性喉頭蓋炎が「疑われない」のだ。
急性喉頭蓋炎は、診断(発見)そのものが難しいため、
この適切な治療というのが、非常に難しくなる。
更に小児なら自らの状態を言葉で表現し伝えることもできない。
適切な治療が行われず経過観察となれば、
あれよと言う間に気道閉塞に進展し、例え入院していたとしても、不幸な結末となり得るだろう。
Sがそうなる前に気管挿管してもらえたのも、
実はOGさんのスーパーファインプレーがあった。
夜間Sの呼吸があまりにも苦しそうであったため、
当直の内科の先生に、耳鼻科の先生に緊急コールをするよう提言してくださったのだ。
(耳鼻科の先生も、夜中にもかかわらずよく来てくださいました)
耳鼻科の先生が喉頭蓋を確認されたのは、正に気道が閉塞する一歩手前であったそう。
Sは九死に一生を得たのである。
(OGさんは、ある意味先生方も救ったのだろう)
もちろん、技量・熱意のない医師だって世の中にはいるだろう。
それは論外であるが、実際それくらい難しい疾患も現に存在するということである。
そもそもSは肺炎を併発していたため入院となったが、
初期の段階であればそのまま帰宅もあり得ただろうと思う。
考えれば考えるほど、私達は危ない橋の上にいたものである。
実は、今の日本は医師という職業が消滅しかねないほどの危機的状況にある。
まず、産科、小児科、ER。
実際身私達の身の回りでも、何件か閉鎖されたところがある。
更にはヒトを救おうとして医師を志したにもかかわらず、
躓いてしまったら、一気に谷底に落ちかねない世の中になっている。
自らの身の破滅(訴訟)が、足元に口を大きく開けて待っているのだ。
そんな中、わざわざイバラの医者にさせようとする必要があるのか、
その様な状況だからこそ、あえて医者にさせるのか。
私達親がまずぐらついているので、何とも強くは言えない所である。
また「医者になるにはお金がかかる」
ここにも不安があったりして。
そしてSの不器用さも、医者にさせて世間様に申し訳ないという思いもある。
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ウルトラマン
レオ、だ!![]() ・・・それ、かめはめ波じゃね? ![]() |
まあ、何より成れるだけのアタマがあるかどうかが、一番の問題か
今日はおママと将棋をやったそうだ。
もちろんまだ駒の動かし方もままならない。
考えたおママはSの「王」を取り上げた。
Sをオフェンスに集中させるためだ。
ディフェンスがなけば、そりゃひたすら相手の王を追うだけ。
持ち駒も動員し、ついにおママの王を捉えた。
Sは、
「ちょうぎ(将棋)って、おもちろ〜い!!」
とプルプル震えて感動していたそうだ。
Sのストレッチ大作戦は思いの外順調で、
これ以外は目立った進歩がないとも言える
完全開脚も夢ではないところもまで来ている。

虫歯のない歯、眼鏡の要らない目、柔軟な体は、それだけで財産だ。
それだけは何とか守ってやりたいと思う。
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・・・。 |
最後になってしまったが、
これまでSの食事を担当してくださった栄養科のSZ先生から、
転勤のご挨拶を頂いた。
入院中はg単位のSの食事を考え、作り、
退院後も度々アドバイスを頂いた。
食事管理が治療の柱であり、要を支えてくださったのがSZ先生である。
本当にありがとうございました。